王子様になりたかった弱虫なお姫様

華アワセ 姫空木編 姫のことだけ(考察じゃないです)

 

 

 蛟編の姫ルート(BAD)をプレイしてからわたしはずっと姫が王子様になれることを願っていました。姫空木編ということで、姫は当然メインで唯一ハッピーエンドが迎えられます。おとぎ話のような王子様とお姫様が幸せになれるEDを期待していたけど実際はちょっと違ったかな。

 姫空木という名前からして、"姫"の女性的な面と"空木"のからっぽで自分がない面が合わさったような男だった。最初のうちは姫が何を考えているのかよくわからずに進めていた。そんな姫空木という男を、見つけて受け入れていく物語だったように思う。

 

 序盤の、いろはに対して「謝罪を要求します」と勝算なしの勝負を挑むところがよかったしここは王子様らしいと思った、が、今思えばそれもきっと”振り”だった。みことに一目惚れしたのも運命なんかじゃなくて、姫が”王子様の振り”をしたから。だから鬼札が最初に誰も選ばなかったんだろうな。

 みことと友人たちの温かい団らんを肌寒い窓の外からずっと体育座りで見ていた姫に軽く引いたんですけど・・・・そんな彼をみことが見つけて抱きしめたところはよかった。本当は涼しい顔して会いたかったのに情けない姿を晒してしまっていた姫が惨めで愛しいとさえ思えた。

返事してってば。そんなことないって、僕の望む返事をしてよ

 否定も肯定もせずに自分を受け入れてくれたみことに対してちぇっ、て悪態つく姫がかわいかった。お姫様でも王子様でもない"彼"が見え隠れしていた。

  そのあとすぐ「……僕たち、少し距離を置こう」と言われてパートナー解消されて拒絶されてその時はハ????となったけど、後で自分が罪を重ねている罪悪感でみことを意図的に遠ざけようとしたのかなってことで納得した。

  講堂で王子様として死ねることを望んでいた姫を救うみことが王子様に見えちゃう、皮肉にも。「鬼札が選ばなくても私は姫空木さんです」って言い切るみことすきすき。ここで「パートナーに選ばれてあげる」ってひねくれた返しをする姫も良。自分でも面倒くさい人間だと認識してるのがまた厄介だけど嫌いじゃない。

 

  姫は水妹を食い散らかしてるプレイボーイという噂によってだいぶ振り回されました。月光組の水妹は平等に姫から優しさやキスを与えられる。そんな中、みこととパートナーになった途端に「えっちしよ?」と言い出す彼には意味がわからなくて混乱しました。彼の水妹であり続けたい(えちしたら資格を失うので)みことは当然拒むんだけど、それに対して「君と僕では考え方が違うようだ」とモラハラ男みたいなことを言うので蛟に泣きつきたい思いでいっぱいだった。実際、蛟が説得してくれなかったらわたしは姫空木という男の理解を諦めていたかもしれない。

 もやもやしながら進めていくと、姫はパートナーとなったみことを全員平等の月光組の水妹として扱いたくないから水妹としての資格を失わせるためにえっちしよ!の思考になったということかな??姫はわりと突飛なことをするイメージ。だから理解に時間がかかる。窓の外の体育座りもそうだったけど。でも結局水妹のとしてのみことを好きだと告白してきたのでお手上げです。

僕は、君の水が似合う男になりたい

 どれだけ都合がよくて情けなくて理解するのに時間がかかる姫だとしても、わたしはこの言葉を言われてハッとなり、あやうく絆されるところだった。

 

僕は臆病だ。本気になりたくなくて、ずっと逃げていた。

君と向き合う以前に、自分と向き合っていなかったんだ。

 姫のこの台詞がしっくりくるんだよな。姫は物語後半になってもこの逃げ癖が直らない。でもみことは決して姫を見捨てない。姫がどんなに泣きごとを言おうが、そばで支え続けてあげられるヒロインなので。

 

 花神めちゃくちゃ好きだったよ。まさかの実の妹を愛していたという真実を知る前はね・・・女の子は嘘つき。それは花神のことだったんだね。花神とマツリカの設定がもうちょっと掘り下げていたらよかったのに、そのあとのチャリスとかやっぱり五斗が絡んでくるのでこれ以上話にボリュームを持たせるわけにはいかないのかな。情報過多で処理しきれなかった。

 

 自分の罪に押し潰されそうになって泣きごとを言う姫は全然王子様らしくなくて、みことに泣いて縋った姫はやっぱり王子様にはなれないんだなと思った。みっともなくてどうしようもないところがむしろ彼の魅力だとおもうし、みことはそんな彼を愛した。どう足掻いても格好つかない。弱虫な姫を引っ張っていくみことが王子様に見えてしまうくらい。

 おとぎ話のようなハッピーエンドとはすこし違う、みことが姫のために見つけ出したふたりの「ただいま」のハッピーエンドが結構すき。