終ヴィル 感想

基本ハピエンしか勝たん🎶で生きてる乙女ゲーマーの感想ですのでご了承ください。

情報を限りなくシャットアウトして満を持して迎えた発売日。絶望をテーマにした作品だということくらいしか知らなかったので、きっと絶望から始まる物語でも最終的にどんでん返しのハピエンになるんだろうな～くらいの淡い期待を募らせていた。

正直舐めてた。絶望なんてしたくない、したくないんや・・・・と頭を抱えて怯えながらAボタンを押し進めることになった。

この作品、言わずもがな乙女ゲーとしての王道テンプレは見事ぶち壊しています。バッドエンドから迎えるなんてもんじゃない。ただ、とにかく性急に救済を見るために生き急いだ感はある。

共通よりも個別のほうが長く感じるゲームでした。個別で４、５時間？第３幕で６時間以上はやってた気がする。救済までが長くて泣いた。攻略はおすすめ順でやりましたが、その通りでやってよかったです。

推しBGMは【贖罪の船出】と【純潔の哀傷】なんですが、素敵な曲が多すぎる。

賛否両論ある例の部分とか、受け入れたくない部分、多少ご都合とか強引に感じるとこも否めないわけですが、それを差し引いても最終的にこの作品は今年いちばんオトメイトで好きな作品となりました。

ハピエン泣かせの絶望。でも、それ以上に救済が与えてくれる感動に泣いた。

続きから個別！ねたばれしてるので注意

ヒロインであるセレスは、まるで死神のような少女だった。

彼女の周りにいる人間はどうしたって死んでしまう。セレスの意思とは関係なく。プロローグから彼女が過去に幾ばくかの人の命を散らしてしまった懺悔のような語り口から始まる。雨に打たれた少女が自らの喉元に短剣を突きつける姿は、衝撃的で、美しささえも感じられる。だけど、そこに至るまでの彼女の絶望は計り知れないものだった。

でも、本当の絶望はここからなんですよ・・・・・・・

※最初に謝っときますがイヴ推しのためイヴの感想に偏りあります

• マティス

初回推奨！てことでいちばん気になってたのもあって、真っ先に特攻した。正体は、ジャンがつくりだしたホムンクルス。たぶんここら辺の文章表現がぐろい。妊婦の～とかそのあたり。ただ血みどろに殺しまくるほうがまだマシだと感じるくらい若干吐き気を覚えた。いろんな人間の継ぎはぎの記憶がダウンロードされてるので、まったく別の人格がたくさん組み込まれてる。でもちゃんと、”セレスに恋したマティス”の人格が存在するんだよね。

組み込まれた人格から交互に「愛」を引き出していく実験もえぐかった・・・・推し候補だったのもあって初回から情緒めった刺しにされた。

この√のシナリオ構想が秀逸だった。まさか殺された兄のための復讐自体が別人の記憶だとはおもいませんよね？車運転するときのギャップ♡とかもぜーんぶひっくり返されたのは笑ってしまった。ミスリードすごい。途中から口調態度変わって「これ本当にマティスか？」とはなったけど。

救済も悲恋かとおもったら、ご都合でもリライバー化されてハピエンの権化だなっておもった。ここまでが辛かったからもう多少ご都合でもいいよ。許す。

「——どうかボクと、素敵な【恋】をしてくれませんか」

マティスのいちばんかわいい顔みれました。

• リュカ

美人なのにバカ強い、みたいなギャップに笑ったけど結果的に笑えない展開になった。最後のほうなんて、息を吐くようにたくさん人が死んだ。ひたすら虚無だった。カプシーヌの遺伝子異常愛も純粋に気持ち悪くてぞわぞわ。リュカが狂って人を殺しまくってヤバ！なったときのアンクゥちゃんとこのまま愛の逃避行をすべきかどうか真剣に考えていた。

どうでもいいんだけどリュカのポニテ姿性癖～～～かわいい。これで男か？ってなるくらい美人。

絶望エンドも虚無ったけど救済がもはや救済じゃなくてワロタ。これリュカが殺戮する前の段階に遡らないと無理～～～とかおもったけど、そんなこと言ったらセレスと出会う前になってしまう。マティスルートで違う人格が人殺したときもメンタルボコボコなったけどリュカそんなこと言ってられない引き返せないところまできちゃってんだよ。もう来世しかない。来世で幸せになるしかない。

来世で幸せになるしかない男多すぎ問題

• シアン

おじ・・・ってことだよね？リバイバーになったらもう年わからんやん。それとなくぼやかしてるけど攻略対象で最高齢ですね・・・リバイバー何回繰り返してるかもわからんのでそこら辺はあんまり触れずにいきたい。

リバイバーだから恋愛感情をもたない、２３年後に恋愛感情がなくなることを知って恋愛するのなんてきっとバカバカしいことなんだろう。そんなこんなでシアンとまともに恋愛できるのか？おもってたけど、個別入った途端専属雑用係にさせるし、結構積極的に関わってくるやん？？？と期待した。

セレスがつくってきたサンドウィッチを何も言わずにもぐもぐ食べ続けるシアンと全自動サンドウィッチ供給機ツボだった。

恋愛感情不要男だからこそ簡単に恋してくれないのがよかった。それまで、マティス、リュカにいつ好きになった？と言わんばかりの恋愛過程すっぽかしされていたので、好きになってもらえるまでの過程がより丁寧に感じられた。

「——俺は、最初に恋をするなら、お前がいい」

そう言ってキスをする。次にリライバーとして感情を手に入れられたら、恋をしたいと思ってくれるシアン。この想いこそがもう恋なんですよね。

絶望エンドでセレスが死んだあと、自分の中にセレスの記憶をダウンロードして狂ったように生きる姿がもう何よりの執着を物語っていた。

救済は惚気もあり、本当にシアンなのかな？っておもうくらいデレてた。糖度も突然ぶち上がり、救済という名のご褒美だった。わたしの推し救済もこういうの欲しかったし求めてたんだよな。

• イヴ

共通からわりと運命を感じて期待値高かった男。でもそれって結局イヴの博愛精神にプレイヤーとしても躍らせれていたんだな～とおもわせるのが、すごくないですか・・・・

アンクゥちゃんにもお墨付きをもらっていたし安心感が違った。きっと平和なんだろうけど平和に終わらせる気ないだろうと勝手に疑心暗鬼になってた。もう４人目とかだし絶望に慣れ過ぎて、ここまで期待させといて（勝手に）わたしの男じゃなかったとき今度こそ絶望で倒れるとさえおもった。

イヴが誰にでも人がいいのは、打算的なもの。あいされたいから、あいしていた。イヴがあの火事の運命の相手で、あのときの火傷で家族さえも化け物と罵り彼を捨てた。あいされなくなったイヴは、あいされたくて、あいすることにした。かなしい。

あの火事の原因の死神と呼ばれるセレスを許して友達になろうとしたのも別に彼女のことが好き♡とかじゃなくて、完全にこれただの博愛主義で薄っぺらい愛を向けられただけなんだっておもった瞬間鳥肌立つくらい興奮した。薄っぺらい愛大歓迎～！！！とか騒いでたけど、でもよく考えるとイヴが”愛”がなんなのかよくわかってないからこそ、彼が紡ぐ言葉はわざわざひらなが表記で「あい」なのだろうか。

リコリスの花畑スチル宗教画すぎて拝んだ。色合いも構図もすべて完璧。もうずっと見ていたくて先に進みたくなかった。この先の絶望を憂いてこのまま中途でいいから終わってしまえとおもった。

今まで大抵のことを笑って流してきたイヴが、仮面の下の火傷痕を見られたとき初めて動揺を見せた。周りからは化け物と呼ばれるこの傷に、セレスは「綺麗」とキスを落とす。この瞬間がいちばんイヴの心が救われたんだろうな。

ヒューゴにはともかく嫌われてるな～とは感じたけど最終的に和解したから個人的にノープロブレム！なんですよ。ま～正論も言ってることだし。いやでもとにかくほら、ヒューゴだってイヴが心配なんだからさ・・・・・・とかわけのわからないことを言いながら気まずい部分を乗り越えてしましたわたしは。

この国には土壌に毒素が含まれていて、どうやらそれが２３歳までに体内の２３の染色体を壊すことが原因でこの国の人間は２３歳までしか生きられない。それが呪いと言われる原因。

セレスのリコリスの花を模した特異体質のような遺伝子？が原因でそれを体内に溜めこみ収まりきらなかった毒素が周囲の人を殺す、みたいな真実にぶち当たる。難しい話はよくわからないけど、メモリークラッシュはさすがに笑った。毒だけじゃなくて、愛すら人（というかリライバー）を殺すんかい。

イヴはそんな真実に気づくことなく、先祖からリコリスの花を守ってきた。リコリスの花は、土壌の毒素を吸い込んでくれる。そんなイヴと、リコリスの花の性質を受け継いで生まれてきたセレスは運命でしかないんですよ。アンクゥちゃんも言っています！

でも、この国の”２３歳までに死ぬ”呪いを解くにはそのセレスのクローンがたくさん必要みたいで。セレスは自分を犠牲にしてシアンの元へ行きます。イヴは、セレスが死神だとうことを否定しきれないことも、相棒のヒューゴが死んでしまったことも全部飲み込んで、振り切ってセレスを助けに来てくれるの。アドルフの犠牲も乗り越えて。

「この国のすべての命より、俺は彼女の命と愛を取る」

来ないと思っていたイヴが「セレス」ってめっちゃくちゃ優しい声色で呼ぶんだけど、いや～～～～～ここ何回再生したかわからないくらい。迎えに来たからおいで、みたいなニュアンス含まれてるから良！

それでも来ないで！って言うセレスに「やだ」って顔ぷいってするイヴのかわいさヤバないですか？？？？？？こういうところで１８歳らしいドチャクソかわいい面見れるなんて・・・・ひどく興奮した。今まさに絶望迎えそうなこんな状況なのに萌え狂ってしまったよ。イヴ本当に好きな人にはこういう態度するんだ～～～♡なった。

「――俺はもう、意味のない愛は振りまかない」

博愛だった男が偏愛の男になった瞬間、恋に落ちる音がした。たった一人の犠牲がこの国のすべてを救うというのに、イヴはそのたった一人の女を誰よりも何よりも愛しちゃったんだからサ・・・・・・これ以上の愛、ありますか？（盲目）

今まで、あいされたくてあいしていた博愛を捨て、真実の愛に生きる偏愛の男イヴが爆誕した。国民全員の命とたった一人の愛する女性を天秤にかけ、迷いなく後者を選びとる男になっていた。誰にでも優しいイヴはもうそこにはいなかった。

「そうだよ、俺はずるいんだ。……愛する君を生かすためなら、どんな最低な言葉も吐いてやる」

萌えすぎて涙も汗もビシャビシャだった。イヴは本気で愛した女には本気でぶつかってくるアツい男なんですよ・・・・ちょっと意地悪になるとこもたまらんよな。愛を振りまいている振りして、結局本当に好きになった女には愛も命も明け渡しちゃう男なんだ。

もう、運命だから。

「リコリスの化身たる彼女は――

　生まれ落ちた瞬間から！

　守護者たる、このイヴ・ノワージュのものだ……！」

これ言われた瞬間に萌えすぎて倒れた。もう天才じゃないですか？？？この流れと台詞が天才すぎて脳内アドレナリン大放出しちゃった。命ぜんぶ預けたい。結婚したい。こんな男どこにもいない。

ふつうはこのままハピエン一直線に向かうとおもうじゃん？でもこの作品はそれを許してくれない。出会った時と同じ炎に焼かれ、愛を誓って死ぬのがイヴ・ノワージュ。

救済ではこの炎の中でプロポーズするのが対照的でよかった。命がいらないなら俺にくれって言ってのけるのも最高だった。不格好なリコリスの花束を差し出して。でもイヴの命は長くなくて、限られた時間を共にするって終わり方なんだけど。まぁ、これはご都合とはならない救済のお手本だな～とおもった。それまでが（リュカはさておき）ご褒美感じられるような救済だったのに対し、イヴとの未来が見えなくて落ち込んだ。それまでが最高の流れだったので・・・・奇跡は起きなかったと落胆した。きっとイヴ最萌えじゃなかったら飲み込めてたのかもしれない。うん。

でもやっぱりどうあがいても、終わったあともいい意味でも悪い意味でも引きずっちゃえる男なので、すきぴ。

• アドルフ／アンクゥ

最初このふたり一生喧嘩しててわろた。

スクショ失礼しますがこのご機嫌アンクゥちゃん、たぶんセレスに再会できたからんだなっておもうとかわいい。彼、ギャップ萌えがすごい。いやとんでもない真実隠し持ってるんだけどそれ以前の、アドルフとはまた違ったかわいらしさが存在するんだよね。姫君って言ってくれるところも、私の大事な女って言ってくれるところもすき。

実は死の番人っていうのは偽りです。全部アンクゥが演技してました。恥ずかしい～！ってきっとなってたんだろうな。霧のように隠れる演出も自分で考えて、、、、死の番人を演じ切っていたアンクゥちゃんかわいすぎて言葉にならない。

アドルフは、イヴみたいな繫がりがあっての運命とかじゃないんだけど、何もない状態からセレスを手繰り寄せていること自体がもう運命のようなものだとイヴに言われた時ハッとした。

アンクゥは、そんなアドルフが自分で運命を変えようと必死で頑張った結果なんだ。

過去アドルフがセレスを救うために時を何百年も遡り、土壌の毒素をなんとか減らすためにリコリスの花を植えて、その毒素を吸い込んだリコリスを食らって抗体をつくった。長い時をかけ、アドルフは細胞分裂を繰り返し、別人の見た目をしたアンクゥとなった。セレスが死ぬはずの運命だったプロローグの”短剣を首元に突きつけ”たあの場所に今度こそ間に合うように駆け付け、助け出し、物理的に運命を捻じ曲げたのです。ここまでの壮大な伏線回収に脱帽した。

だからこそ、最後がどうしてもしんどい。確かに今を生きるアドルフと幸せになるのが正しいことなんだけど。アンクゥちゃんは生き過ぎた感あるけど、やっぱり、リコリスの花束で求婚する男（イヴもそうだった）loveなので幸せにしたかったよ。例え同じ世界線で生きられないとしても；；；；

そりゃあ何百年の想いだからね、アンセレを推すしかないんですよ。誰が何と言おうがカプ萌えはアンセレで優勝した。このふたり以外考えられないです。セレスのためにかけてきた時間がもう違う。「愛していた」の過去形が心を深く抉った。

アンクゥを失っても、公式がこれを救済エンドとするなら、これ以上アンクゥとの未来は見えないわけで、それを受け入れざるを得ないんですよ・・・・・

でも、救済は救済だった。呪いはもうどこにもないし、大団円みたいな感じだったし（ジャンはもっと裁いていいとおもったが）、アドルフは二人分の愛をくれると言ってくれたから。

アドルフは、アンクゥだから。もうそれが真理。

ダハトちゃんを最後まで疑えなかったわたし。最後まで救えなかった。他ルートあんなにきらきら輝いていたダハトちゃんが急にフラッシュバックして目の前がぐらついた。幸せにしてやりたい男が増えた。例えそれが来世だとしても。

乙女ゲーとしての立ち位置どうなん？っておもうところはあるど楽しめた～！ひさしぶりに新作で勝てました！

おわり